何でノブが独りで(浴衣着てないケド)灯籠流しに………?
―――――あ
もしかして………?
「―――――ノブは………もしかしたら、茉莉子さんの………?」
直ぐさまノブの方へ顔を向けると、彼はアタシとの視線を反らし、縦にゆっくりと頷いた。
「さっき、灯籠流してきた………」
「……………」
「………俺さ、茉莉子が亡くなってから、何の供養もしてなかったから………」
「……………」
「たまたま、同僚の先生から、広瀬川の灯ろう流しの話聞いてさ。俺なりに供養したいって思って。………俺、知らなかったよ。『七夕過ぎたのに、何で花火上げてんだ?』って思ってたけど、灯ろう流しの一環だったんだな………」
仙台七夕まつりの前夜祭の8月5日に、場所は少し北にずれるけど、花火大会が行われる。
アタシも七夕前夜祭の花火なら知ってたけど…。
ノブは、作り笑いしながら淡々と語る。
アタシは、ただ、黙って聞いていた。
そっか………やっぱり………。
ノブの中では、茉莉子さんの存在が、ものすごく大きいんだね。
茉莉子さん、愛されていたんだ。
亡くなる前より、もしかしたら、今でも。
ノブに愛されているんだね………。
何だか、胸の奥がチクチクする。