「ケータイ?………あるけど………どうして?」

突然そう言われて、椅子に置いといたPORTER TANKERの黒いショルダーの外ポケットから、ケータイを出す。

「ちょっと借りるぞ」

「えっ?」


返答する間もなく、ノブがアタシのケータイをサッと奪った。
その後、ケータイ同士重ね合わせて何やらやっている様子。

何だろ?


「ハイ、返す。俺の番号、衣理のケータイに入れといた………。勘違いかもしれないけど、何か水嶋さんの事で、俺に話したそうだったから………こんな俺で良かったら、話聞くよ」


「え………」

どうして解っちゃったんだろう?

顔に出ちゃってたのかな?
アタシ、そんなに話したそうな顔してたかな?

ホントは、も少し話したかったんだ………。


「あ、心配御無用。俺は下心もなけりゃ、二人の仲を裂くようなこたぁ~もう二度としません。彼氏いる元カノに手を出すほど、俺は落ちちゃあ~いませんから」


ノブはにこやかに、メガネの位置を直し…Vサインした。