ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】



ホームに、東北新幹線・仙台行が発車するアナウンスが流れ始める。

俺は降ろしていた荷物を肩に掛け、デッキに乗り込んだ。


「じゃ…。色々とありがとうございました。落ち着いたら、連絡します」

挨拶の後、軽く一礼した。

「ああ………」


暗幕が敷かれた夕方の雨空を、ハルヒは仰ぐ。



「―――――こんな事なら、無理矢理にでも茉莉子をアメリカに連れて行くんだったよ」

溜息混じりに呟いた。




発車のベルが、高く、高く、鳴り響く―――――




「―――――そしたら…………茉莉子が、お前に心奪われることもなかったのに………」


「……………ハルヒ?」




「お前と、茉莉子の奪い合いとかしてみたかったよ……恋愛ドラマみたいにな」




無情にも、シューッという音を立てて、ドアが俺たちの間を遮った。


ファイティングポーズをし、ありったけの笑顔をするハルヒ。



俺は、深く深く、頭を下げた。




最後のハルヒの言葉、あれはきっと本音。

茉莉子の事だから、ハルヒに俺の事は何も言わなかったんだと思う。

けど、ハルヒは気付いていたんだろうな。


茉莉子の気持ちにも。


俺の気持ちにも。