「―――――そうでしたか……。ハルヒの奥さん…茉莉子さんには、こんな俺に基礎から勉強を教えて頂き、俺みたいな荒くれ者にとてもよくしてくれて………。残念です………。で、いつ亡くなられたんですか………?」
表情(かお)に、声に、身体に。
感情を出してはいけない
何事も無かったように、他人行儀な振る舞い。
「…………年末……しかも大晦日だ………。茉莉子が亡くなる5日前、アメリカから帰ってきたら家のリビングで倒れていて………すぐ病院へ運んだ。その時、初めて聞かされた………彼女が、急性骨髄性白血病だって………。俺、知らなくて………。俺が居ない間、電話やメールしても“大丈夫だから、心配しないで”ってしか言わないし、年に数回しか帰って来れなかったから………。俺は、茉莉子の何処を見ていたんだろう………」
白血病………
茉莉子が、急性骨髄性白血病―――――
最後に逢った日、前より痩せた感じはしてたけど
俺も、茉莉子の何処を見ていたんだ………?
「………『誰にも連絡しないで』って」
「………あいつ、俺に内緒で入院してて、抗ガン剤治療を受けていた。担当医には』『もうすぐ主人が帰ってくるから、お正月明けまで外泊を許可してほしい』って、クリスマスイブから2週間の外泊を頼んでたようなんだ………」
涙で擦(かす)れて………ハルヒの声という声にならなくなっていた。
亡くなる前日、肺炎を併発。
除夜の鐘が鳴り響く真夜中。
盛り上がる新しい年へのカウントダウンが始まるという23:55。
苦しむこともなく、眠るように、息を引き取ったそうだ―――――



