「俺としてはもう、憔悴しきった、精気のない茉莉子を見たくなかった。だから、彼女の笑顔がまた見たかった俺は、“これがきっかけになれれば…”と、軽い気持ちで了承した。今まで彼女を縛っていた分、これぐらい自由にさせないでいてどうするって気持ちがあったしな………」
ガラス越しに微かに映るハルヒの顔。
切ない彼の表情を見るために、俺はこのクルマに乗ったのだろうか………。
ハルヒが俺に話したいという本当の理由っていうのは、これだけなんだろうか?
いくつもの疑問符が、無造作に頭を駆け巡る。
―――――ここに座っている自分を、今更ながら悔んだ。
「―――――俺………結局………出逢ってからずっと………茉莉子を幸せに………出来なかった………」
ハルヒが、声を詰まらせている………それが涙声だと判るのに時間はかからなかった。
「――――――――――死んだんだ………」
「えっ?」
「…………………茉莉子が、死んだ」
マリコ ガ シンダ――――――――――



