「今だから話すけど、俺は村越が卒業できるなんて夢にも思わなかったんだ」
は?
ホント、今更。
何言っちゃってくれんの?
しかものほほーんと。
………ま、俺もそう思っていたけど。
「お前の担任になってみて……“こいつがうちの大学に?しかも俺のクラス?”って正直思った。だってウチの大学は『服装は人格を表現す』と唱えているってのに、初っ端から相反していたし、村越の女遍歴、実は教授間でも有名だったんだから」
「えっ!?マジで?」
そいつぁ、驚いた。
そうそう。
卒業式の時、通りで教授らが“村越、卒業できて本当によかったなぁ~。あの村越が………”と、みんながみんな、ガッチリ手を取り、異口同音。
“あの”は余計だけどさ。
俺って………やっぱ浮いてた存在だったんだな。
改めて実感。
「目標も夢もない。誰が何言っても一向に直す気配なし。何のために大学来たのかもうやむやだったお前が、まさかなぁ………」
笑いながら話すハルヒ。
だが、その目は笑っていなかったように見えた。
「一昨年の夏、あいつが………『あたしがこのコを変えてみせる』って急に言ってきてさ。しかも、今までにない情熱ぶりに俺も折れて………」
“あいつ”?
“あたしがこのコを変えてみせる”?
胸の中の雲行きが、急激に怪しくなっていくのが自分でも解る。
何だ?潰れそうな不安感は?
ハルヒは何を言おうとしてる?



