―――――そして俺は、無事に大学を卒業。
引っ越しも完了。
市役所で転居届を記入し、無事に受理。
アパートの引き渡しが終われば、後は蔵王の新居なるアパートへ移るだけ。
夕方、新幹線で蔵王へ行くことに決めていた。
茉莉子をこのアパートに呼ぶ事もないまま、嫌で離れた宮城へ、また戻ろうとしている。
俺は、ローテーブルもベッドも、何もない。
がらんとした1LDKの真ん中に、胡座(あぐら)を掻いて腰を据えた。
天井を仰ぐ。
ぼんやり見ながら、ジーンズのポケットから、100円ライターとマールボロ・メンソールの緑箱から一本、タバコを取り出し、火を点けた。
“ふぅ…………”と、煙を燻(くゆ)らせる。
こんなからっぽな状態で、俺、来月から教師なんて出来んのかよ………。
何してても、茉莉子との出来事がフラッシュバックされる。
そして、身体も………。
抱擁した時の温もり
唇の柔らかさ
見たことのない艶めかしい表情
感じた事を報(しら)せる嬌声………
昨日の事のように、鮮明に蘇る。
「茉莉子………何か女々しいな………」
呟いてみるが、情けなさが増しただけ。
その時、“ピンポーン………”と、緩い音でインターホンが鳴った。



