「………ああ。………昔の女が幸せそうにしてる姿を見て、俺無性にイラッとしたっつーか………“自分だけ幸せになってんだよ”って………。つい、待ち合わせに現れた彼氏に去り際…『ベッドの上ではスゴいだろ?今でも俺にすがってくるんだ』って………吐いてしまった………」
言ってしまった。
誰にも言うつもり無かったのに。
酒の勢いとかじゃない、素面(しらふ)の状態なのに。
“言った”という自らの意志ではなく、どちらかと言うと“言わされた”感じ。
誰かに後ろを押されたような………。
言葉にしてみると、解る。
俺ってホント、サイテーだ。
「―――――――随分と強がった事、言っちゃったワケね」
お茶を片手に、茉莉子の瞳も見ずに、頷いた。
「もしかしたら、その心ない一言が原因で別れているかもしれないよね、その二人」
ズキッ。
解っていながらも言われると堪える。
“でもね―――――――”と呟き、俺の左に影ができる。
俯いていた俺がその方向へ目をやると、かなりの近距離で茉莉子が顔を覗き込んでいた。
別な意味で、痛みが胸を貫く。



