1+1だけで、こんなに答えがあって、こんなに考え方があったんだな………。
茉莉子が“あるだけ答えて”って言った意味がやっと解った。
「1+1の話はおしまい!勉強、どうせやるなら詰め込みじゃなくて、楽しみながらやりましょ?あたしが解り易く教える」
ちょっぴり勝ち誇った感じに茉莉子が微笑んだ。
三日月のように細めた目。
改めて、彼女は不思議な女だと思った。
それからの俺は、茉莉子の教え方のお陰で勉強が楽しくなった。
その甲斐あって、大学の講義内容も理解出来てきたし、テストもどの科目もほぼ満点。
自分でもビックリ………。
何より驚いたのは友人たち。
“村越、おめー何かの気の迷い?”
“たらしこんでたお前が…今までの女、全員に逃げられて、スることなくて勉強?”
しまいには、
“村越敦裕は不能になった”
………おめぇら、言いてぇ放題語ってんじゃねぇよ!!
勝手に不能扱いしやがって!
…………ただ、茉莉子のレッスンを受けるようになってから、ケータイに女から電話が来なくなり、大学で会っても素っ気ない態度で突き放す。
自然と、以前みたいにテキトーな女の裸を拝む事をしなくなっていた。
やりたい盛りの20代成り立てなのに。
もう飽きたというか、興味がなくなったというか………。
友人は“牙を取られたライオン”とか冗談言ってケタケタ嗤ってたけど。
悔しくも何ともなかった。



