茉莉子のレッスンは、週に1回。
時間はだいたい2時間だったり、6時間だったり。
曜日は特に決まってなかった。
だいたいは、俺がバイト休みの日だった。
お互いのどちらかの家でやるって選択肢もあったのに、茉莉子が有無を言わさず都立多摩図書館を指定してくるから、つい、俺も言うこと聞いてそこにしていた。
どっちかの家だったら………。
押し倒すことも出来るのに、こんな公共の場所じゃあそんな事、出来る訳ねぇだろ?
しかも茉莉子のガードは鉄より固かったし。
で、だ。
教師になるためへの勉強…みたいなこと言ってたから、どんな事かと思ったけど、いきなり小学校レベルの算数やってみたり、漢字の読み方だったり、動物図鑑とか持ってきて、その動物の名前や特徴を教わったり………。
“?”が頭ン中をいくつも過ぎった。
最初の頃、俺はこう訊いた。
「茉莉子、俺の事バカにしてる?いくらなんだって小学校の算数はねぇだろうよ。大学生のやることじゃあねぇよ」
「………じゃあ、今から問題出すから。『1+1=?』答えは何になる?あるだけ答えてみて」
俺の左隣に座る茉莉子から、上目遣いの視線。
コイツ、俺を完全にバカにしてる……………。
少し間を開けて、
「………んなの『2』以外にあンのかよ………。答えは『2』。それ以外はない」
あんまりにもバカらしくて、つい嗤いながら答えた。
俺の回答を聞いて、茉莉子は口角を上げた。
「ノブ、正解」
「ほらみろ~。だろ?」
「でも、本当にそれだけ?」



