約束の勉強は、茉莉子が退院したちょうど一週間後に。
午前10時、都立多摩図書館。
俺がすっぽかしたあの日と同じ、待ち合わせ時間と場所。
あ、今度はちゃんと、約束の時間に間に合うように行ったっちゃ。
図書館の入口には茉莉子の姿。
俺に気付き、手を振る。
そして、小さな花のように優しく微笑む茉莉子。
「………おはよ。この間はすまなかった。………体調………いいのか?」
「ん。ありがと、大丈夫。………村越敦裕!容赦なく行くから、ついてきて」
相変わらず、出逢った当初のようなサディスティック風な言いっぷり。
以前の俺ならムカついて、胸倉でも掴むところ。
だが今の俺は………茉莉子の上からモノ言う態度、嫌じゃない。
寧ろ、くすぐったささえ、覚える。
「じゃあ、ヨロシクな。茉莉子……センセ♪」
―――――こうして、俺が教師になるためのレッスンが始まった。



