バイクを走らせた。 雨は針のように身体を突き刺す。 その針は胸を貫く。 痛い。 こんなに痛い思いをしたことは、ない。 身体の痛みではない。 さっきまでのモヤモヤした気持ちが、針の筵(むしろ)のように胸に刺さる。 その時、俺の目に飛び込んできた、全身ずぶ濡れの女――――――― 「茉莉子!!」 大声で彼女の名前を叫び、急いでバイクを停め、駆け寄った。 待ってる訳ない。 そう思いながらも、心とは裏腹に俺は、無意識のうち、都立多摩図書館までバイクを走らせていたんだ。