ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】



―――――――ここ暫く、一日を独りで過ごすことがなかった俺は、今日のこの日は、ちょっと新鮮だった。


いつもだったら、必ず毎日、電話がメールが来る。

友達とつるんで歩いていたり、飲みに行ったり。
メールして、都合のいい女と二人、バイクで横浜のみなとみらいまでデートしたり。

「“用事あったら、向こうからかかってくるでしょ?”………か、確かにな………」


茉莉子の昨夜の台詞。


今日は面白いぐらいに、電話もメールもかかって来ない。

特に女から音沙汰なし。
衣理と付き合い始めた頃から殆ど、仕切りなしに電話かメールがあったのに。


“電話が壊れたのかも?”と、バイクショップ行く前にケータイショップで<
念のため診てもらったが異常は見つからなかった。


ケータイの電話帳にデータが皆無に等しい状態では、かけようにも電話もメールもできない。


今になって、メモリ消されたの、結構ダメージ、デカいかも。

ああ………。
所詮、俺はその程度だったんだ………。


“茉莉子”


電話帳に一つだけの名前。


俺は彼女との約束を破った。


ケータイの画面右上に小さく表示された時計。

18:24


着信もない。

普通ならば、来ない人を心配でかけてくるはず。
なのに、全くかかってこない。


昨夜の茉莉子の言葉は嘘だったのか―――――――?


そんなことを思いながら、国道16号線を町田のある自宅アパートに向け、バイクで走らせていると、ぽつぽつと頬に当たる冷たいもの。

「雨か………」

とうとう降り出してきたか………。