「俺が大学3年の夏休み、レポートでどうしても調べなきゃいけなくて、大学の図書館に行ったんだ─────」
ノブは、メガネの端を中指でクイッと上げ、すぐ右隣にあるガラス越しの通路へと視界を移した。
今、メガネ越しに、今語ろうとしてるあの頃の情景を見ているに違いない………。
アタシは、生クリームを混ぜ込めたキャラメルマキアートを飲みながら、そう思った。
「レポート書くのに必要な本を取ろうとしたらさ、偶然にも俺と同じ本を同時に取ろうとしてた女がいて、手が触れたんだ………」
「………何か、ドラマみたいだね………」
「ああ、そうだな。触れたら思わずお互いに手を引っ込めたぐらいにして」
一度アタシを見て目を細め、視界をまたガラスへと移した。



