「あっ、す…スミマセンっ!!」 通行人と思いっきりぶつかった。 ぼんやりしてたからだ。 「ってぇ………」 「スミマセンっ!!」 アタシは、相手の顔を見ずに深く頭を下げて、二度謝った。 恥ずかしくて、顔見られたくないばっかりに、ぶつかった人の左を、小走りに通り過ぎようとした。 「えっ………?」 その人がアタシの左手を、しっかり掴んだ。 その手のせいで、アタシは前へ進めなくなった。 「ちょっと待って!!」