「牛たん屋までは仕事。今からは仕事オフモード、入ります!」
シゲさんがまたいつものにこやかスマイルで冗談交えに話す。
「……で、何か真っ直ぐ帰りたい気分じゃないように見えたからさ」
「……………」
「…………生きていればイロイロありますよね。…あ、すいませ~ん!ジントニック…でいいかな?もうひとつ」
シゲさんが俺に確認しながらオーダーしてくれた。ただきかれるまま頷くだけだった。
「目が覚めてきますね~このライムの香とジンは」
グラスをゆっくり回して、氷を弄ぶシゲさん。
グラスの底を覗く目は、真剣モードの表情。
「忘れ……られないんです」



