ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】

「あ………親父」

「ほえっ?」

アタシは慌てて、シンの手を、彼の膝に戻した。

親父と呼ばれた男性が、口元に拳を当て、咳ばらいのポーズで、障子の陰からアタシたちを見ている。

もしかして、今のキス………見られてた?

ちょっと~シン~?!

嬉しかったケド、あのタイミングでキスはどーよ(泣)?


「真一、お前―――」
「見られた?………エリが緊張してたから、解しただけ。エリもゴメンね。アメリカ人の挨拶のキスだと思って、ね」



………あっさりと言いかわした………。

しかも、さらりと。

「お前、そういう事は、人の見てないところでしろ。だから昨夜の話じゃないけど、定禅寺通で――――」
「あ~わかったわかったって、それは気をつけるっちゃ」

呆れ顔のやや年配の男性は“ったく…”と呟きながら部屋に入る。

「ああ……お嬢さん、すまないね……コイツはいつも可愛いげなくてね……」

そう言って、上座にあぐらをかいて座った。

「はじめまして、真一の父です。いつも真一がお世話になっております」