汗が、俺の汗腺という汗腺から一気に滲み出る。 シャツにはり付いて、気分が悪い。 「水嶋」 そう言って、今度はグラスに目を向ける。近くのグラスを見ているはずなのに、どこか遠い目をしていた。 「衣理ちゃんに、寂しい思いとか、悲しい思いとか、させてたんじゃないでしょうか?」 こくん。と、軽く頷いた。 あ─────── 思い出した。