起き上がろうとしたその時。
あたしは背中にピリリと殺気みたいのを感じた。
急いで顔だけをあげると。
にんまりと。
腕を切り落とされたあのカラス天狗があたしを見降ろして笑っていた。
「うそ……」
ゾゾゾ……っと、背筋に寒気が走った。
なんて顔してるのよ!!
なんて顔で笑ってるのよ!!
っていうか、これ、超ヤバくない?
(絶対ヤバいじゃん!!)
カラス天狗が残った手で、剣を握りなおした。
急いで逃げなくちゃ!!
焦るのに、体が動いてくれない!!
なんで?
なんで動かないの、あたしの体!!
「姫様ぁ!!」
遠くで二人の声がする。



