けれど、フランはひるまなかった。
このときを待っていたかのように、カラス天狗の腕に一閃。
左腕が大きく空に飛び、2歳児ぐらいの幼い子供の体も一緒にすっとんだ。
「ザエル――!!」
奥さんが子供を助けようと飛び出した。
あたしはまだ危ないと、彼女を止めようとしたけれど。
食い下がるあたしをふっとばし、彼女は子供めがけて走っていく。
プロ野球選手も顔負けのスライディングで子供をキャッチ。
一方、あたしは。
地面にヒキガエルよろしく無様に転び……うつ伏せ状態になっていた。
「なんで……こうなっちゃうのよぉ」
顔はなんとかすりむかなかったみたいだけど。
この姿はカッコ悪すぎ。



