「これで何冊目ぇ……!?」

百科事典みたいな分厚ーい本とにらめっこして、何時間たったかもわかんない。

もちろん、記憶なんて戻ってくる気配は、これっぽっちもない。


「だいたい、無理な話なのよぉ……」


記憶を取り戻せって言われても。

ここにいたってこと自体、呑み込めてないのよ、あたし。

記憶を思い出すなんて別次元の話だよ。


「姫様? 大丈夫?」


ハイトーンな声が耳をなでた。

その声にあたしはゆっくりと顔をあげた。

黒のセクシーおパンツ姿を披露してくれたうさちゃん。


もとい。


ユーリくんがピンク色のマグカップを片手に立っていた。


「あんまりだいじょーぶじゃない……」

「無理すると、お体にさわりますよ。休憩しましょ!? はい、これ」

ユーリくんはにっこりほほえんで、マグカップを差し出した。

あたしはゆっくり起き上がると、それを受け取った。

なんか、目が重い。

使い過ぎかな?