やめて!!
そんな優しい顔しないで!!
あたし、おかしくなっちゃう。
心臓、バクバクしてる!!
この音、聞こえちゃったりしないよね?
「少し……話せるか?」
こくり。
とても声を出せるような状況じゃなくて。
あたしは今できる精一杯の返事をして見せた。
彼はそんなあたしに、またほほ笑みを返す。
「おまえには悪いことをしたと思っている。本当にすまない」
苦い、苦い面持ちで彼は言った。
そんなふうに謝られたら……あたし、どう言えばいい?
「みんな切羽詰ってるんだ。時間がなくて……自分のことしか考えられなくなってる。
だから、オレやカレンがおまえに言ったことも……早すぎたと思ってるし、反省してる。
おまえに……許してもらえるかな?」
「シュリ……」
「この国は、今2つの問題を抱えてるんだ。一つは国に流行っている奇病だが……この砂、本当はなんだったと思う?」
「え?」
彼がバルコニーの端のほうに積った砂を掴み、あたしに見せた。



