『運命の王子様』もとい…… 「誘拐犯!!!!」 一気に夢心地から覚めて、あたしは飛びずさった。 クッション性抜群の枕が、背中をポンと押す。 彼は明らかに不機嫌そうな顔になっていた。 眉間にはしわ。 唇は真一文字。 「誘拐犯とは聞き捨てならない」 真一文字の唇の奥から、甘い低音が飛び出した。 ああ、懐かしい。 心地いい!! 体の芯がピリッとしびれるかんじ!! ダメ、ダメ、ダメぇ!! ひたってる場合じゃない。 相手は、なんてったって。 誘拐犯!!