みんなの笑顔を背中に。

あたしは翡翠色の草原の海の見える扉の外へ、一歩踏み出す。


二歩目は見慣れた芝の上を滑り。
手入れの行き届いたパパの自慢のお庭の上にペタンと尻餅をついた。



そのとき、カラカラと乾いた音を立てて窓が開いた。


「ユナさん? そんなところで何をしているんですか?」


聞きなれたテナーボイス。

目の前に現れたのはそう。


黒髪、黒目のネコミミ騎士(ナイト)様じゃなくて――


「パパ!」


抱きついた懐かしい胸と匂い。

会いたくて、会いたくてたまらなかったナイスミドルがギュッとあたしを抱きしめる。


「ユナさん?」


帰ってきたのは大好きな、住み慣れたお家。

帰ってきたのはもう一つの世界。


――もう一つの家族の胸の中。