黒馬は土煙をあげ、キュッとあたしたちの真横で止まった。
ハンパない土煙に、あたしは思わず咳き込んだ。
「はっ!? 私としたことが。申し訳ございません、姫様。大丈夫ですか?」
土煙が引いた目の前に、青色の髪と瞳をした美人なお姉さんが立っていた。
髪型や顔をを一言で形容するなら『クレオパトラ』みたいな人なんだけど。
どっかで見たことある気がするのは気のせい?
「ファリン。悪いが報告を先に聞かせてもらえるか?」
カレンの声に、ファリンと呼ばれた美人さんは、またはっとした表情をし。
コホンッ……と咳払いした後、カレンの前に立て膝をつき、深々と頭を下げた。
「閣下の推測通り。病に伏したものにこの水を飲ませましたところ、傷が小さくなりました。熱もおさまり、何日かすれば完治するだろうと思われます」
「では、砂漠化は?」
「学者の話だと、芽が物凄い早さで伸び始めているそうです。数日で元の美しい草原を取り戻せるとのことです」
「じゃあ、この国、元に戻るんだね?」
あたしの言葉に、シュリが大きく頷いた。
「おまえのおかげだ」
「あたしの力なんて微々たるもんだったよぉ。ほとんどシュリじゃん。結局、今だって自由に力使えないんだし」
ほんとに残念なお話なんだけど。
あたし、自由に力を使えないんだよね。
あのとき力を使えたの。
マジで奇跡ってかんじ。
「おまえの力がオレに力を与えたんだ。今のオレがあるのは、おまえがいてくれたからだ。感謝してる」
そう言ってシュリはあたしに頭を下げた。
あたしは感謝されるようなことしてないよ。
だって、あたしはただ。
シュリの傍にいたいって思ってやっただけなんだから。



