尾骶(びてい)骨(こつ)から何かが生えてくる。
頭から何かが伸びてくる。
指の先から、つま先まで温かい光が包んでいく。
「死ネ死ネ死ネ! 好キナ男ノ手デ死ネェ!」
「グウァァァァ!」
ユーリくんの体から足を離し、猛り狂うシュリの絶叫、その叫び声と共に彼の腕が伸びてくる。
あたし、知らなかった。
熱い、熱い手の意味をあたし、知らなかった。
シュリが高熱で苦しんでいることにあたし、気付いてあげられなかった。
分かったはずなのに。
ううん、分からなくちゃいけなかったのに。
シュリを好きならなおさら、気付くべきだったのに。
(助けるよ。今度こそ、あたしはシュリを助けるからね!)
肩を掠めるナイフのような羽を避けもせず――
あたしは彼の胸の中へと飛び込んで、彼の胸倉を掴み寄せる。
(ごめんね、シュリ!)
不意打ちを喰らったように。
動きを止めたシュリの隙をついて、あたしは彼の唇に自分のそれを重ねた。
熱い温度があたしの唇から流れ込んでくる。