(そりゃ、引き取るよね。好きな人の子供なら)
にしても、なんて複雑。
カレンの婚約者があのちっちゃいおっさんにひどいことされて。
で、シュリを身ごもって。
でも、好きな人の子供だから、カレンは引き取って。
そんな悲恋を体験していたなんて想像も出来ない。
カレンの普段の姿からは愛や恋は連想しにくいし。
それとも、『仕事至上主義のエリート官僚』みたいになったのはその恋のせいなのかな?
シュリのお母さんなら相当キレイだったろうし、お似合いの美男美女だったに違いないんだから。
そんな恋人をこんな弱そうなちっちゃいおっさんに手篭めにされたなんて。
カレンの心中は穏やかであるはずない。
宿命の対決、ここになるってわけだけど。
ちょっと今この状況での対決はまずいんじゃないの?
だって、今のカレンはユルカワマスコットちゃんだもん。
「彼女を守れなかった不甲斐ない昔の私と同じだと思うな!」
カレンの銀色の瞳が一際輝きを増す。
その強風にあおられ、ドレスの裾がバタバタとひるがえる。
彼を包むように月光のようなオーラが姿を見せ、光の残像だけを残して魔王に向かっていく。
「ダメだ、カレン!」
「姫様止めてください! カレンさん、死ぬ気です!」
「えーっ! どどどどどうやって!」
死ぬ気ってどういうこと?
もしかしてファンタジー漫画にありがちな。
『命を力に変えて一撃必殺の技を叩き込む』
とかいうシチュエーション!?



