「くぅっ……!」
「カレン! クラウス!」
「私は軽傷です。姫さまは大丈夫ですか?」
「ドレスだけ。でも、クラウスが!」
シュリの放った羽ナイフでドレスの裾が裂けていた。
一本でさえこの威力。
これが何本も刺さったら?
「クラウス!」
肩を押さえ膝をつくクラウスに駆け寄ろうとするあたしを狙っていたかのように、シュリが宙を駆け走る。
長い足があたしを捉えようとしたとき。
カレンに体を抱えられ、ギリギリのところで蹴りをかわす。
「ありがとう、カレン」
「いえ。それよりもこの状況をどうにかしなければ……」
ハッとクラウスのほうに目を向ける。
傷ついた彼の肩にカラス天狗たちが喰らいついていた。
牙が食い込んでいる肩から流れる血が大きなシミを作っていく。
必死で引き離そうとしているが、その足元をトカゲ魔族たちが押さえ込んでいる。
「クラウス!」
「オレは……大丈夫です。……姫様は……お逃げください!」
大丈夫なはずがない!
クラウスのほうがよっぽど危険な状況なのにあたしなんかを気遣って。
胸がジンとなる。
彼は渾身の力でそれらを一掃すると、その場に倒れた。



