ゲヒゲヒ笑いが空から降ってくる。


「出来損ナイガ本当ニ壊レヤガッタ!」


見上げた空にシュラが口を大きく歪めながら、心底嬉しそうに目を細めて笑っていた。


(なんか、すっごくムカつく!)


下品な笑い声に腹の底から怒りが込み上げるんだけど、今はにらみつけることしか出来なかった。

シュラはそんなあたしたちを見下しながら、グッと握ったこぶしを突き出した。


「運ハ、如何ナル時モオレ様ノ味方。サテ、ドウ料理シテヤロウ?」


ンフフフフ……含み笑いをすると、思いついたかのように突き出したこぶしから人差し指だけを伸ばして見せた。


「サァ、従エ! 己ノ血ニ……」


あたしは身構える。

操られるのは断固拒否!!


でも、なぜかシュラの声は直接頭の中には響かなかった。


(えっ?)


抱きかかえたシュリの体がビクンッと大きく震えた。

黒い髪が逆立ち、閉じていた瞳が開き始める。


見えるのは黒曜石の輝く瞳じゃなく。




血色のように禍々しい赤い瞳。