あたしのうがった苦い顔にカレンは気付くと、『心配無用』と声に出さずに言いながら、パチンとウィンクして見せた。


なにが、どう、心配無用なの?


カレンの考えがぜんぜんつかめない。

それに、どうせ成就させてくれるなら、こんな危険なこと、計画に入れてほしくないんですけど。


「クソッタレ親子ガァ!」


シュラの服がちりぢりになり、浮き出た血管が全身を走った。

筋肉は隆起し、足も腕も倍の大きさになった。

そして、当然のことながらお顔は憤慨あらわな闘牛モードに変化した。


「オマエラ獣人ヲ皆殺シ二シテカラ、アノ国ヲ手二入レテヤル!」

「とうとう本性出ちゃったみたいですよぉ、姫さまぁ?」

「ほんと……だねぇ」


見苦しいほど取り乱したシュラには、あのクールで素敵だったと思い込んでいた頃の先輩としての面影はまったくなかった。


『化けの皮が剥がれる』とは昔の人はほんと、いい言葉を残してる。


なーんて、悠長に考えてる場合じゃない。

王子のご立腹に触発されて、周りの魔族までが超戦闘モード。

辺り一帯、殺気で満ち満ちてる。