「バッカだねぇ、おまえ」

「ボクたちがどうしておまえなんかに従うと思うのかなぁ?」

「なんだと!?」

「そうだな。王の資格のない輩に、我々が従うことはありえないよなぁ、騎士長閣下?」

「ええ、もちろんです。我々が従うのはここにおられる姫様以外にありえません。我々は女王騎士団ですから」

「ふざけるな!! オレはおまえらの、次期女王のファーストキスの相手だぞ! おまえらだって見ただろうが! それとも影武者だとでも言うつもりか?

そんなわけがない! そいつに渡したネックレスは精神操作をするための超音波を流すためにこの世に二つとない特別製だ!

それなのになぜだ! 理由を言ってみろ!!」


「間違いだと言ったのが、聞こえなかったのか?」

シュラを見上げながら、シュリは言った。



そして、あたしを支えるように背中に手を回しながら、ゆっくりと立たせてくれた。


「証拠を見せろ! 無効だという証拠を見せてみろ! そんなこと、できないだろうが!
そんなもの、あるわけがないんだからな!」

負け犬の遠吠え。

もとい、負け牛の叫び声。


に、あたしはにやりと意地悪な笑みが浮かんだ。


「ざーんねんでした。これ、証拠」


シュラに向かって、高く手をかざし。

思いっきり舌を出して見せる。



生暖かな風にそれは揺れる。



真っ赤な口紅のあとを残したカメレオンテープがヒラヒラ、ヒラヒラと――