「父上、あまり姫を怖がらせないでくださいよ」
先輩の言葉に、相手は慌てたのか。
真っ暗な部屋にひとつ、またひとつと青白い炎がともりそれはほんのりと部屋を照らしだす。
先輩の父上様ってどんな人なのかな?
どきどきどきどき。
そこにいるはずの相手の姿がゆっくりと姿を見せる。
(ウソ! マジで!?)
頭に羊のような二本の巻き角。
背中にコウモリの翼。
しっぽは八本、すべて蛇。
お顔は先輩に似た美人なんだけど。
(サイズ、ちっちゃすぎ)
あたしの背の半分くらいしかなさそうなちっちゃいおじさまが、不釣り合いなでっかいゴージャス椅子に座って、足を組んでいた。
そりゃさ、先輩が王子様だって言うんだから王様なんでしょーけど。
地位の割に小柄すぎない?
これじゃ、威厳も威圧もなんもないじゃん。
むしろ、威圧感なら門番の『仁王像』のほうが勝ってるような気がする。
「なんだ、思ったよりも普通だのぉ」
言葉の使い方が古いって!
って、『普通』って言われた、あたし?
そりゃ、あなたが普通じゃないからだって。
その姿に、そのサイズじゃね。
ネコ耳もぽんぽんしっぽも生えてない今のあたしには、ビジュアル的な勝ち目なし。



