「恋愛にはドラマが必要だ。危機的状況になればなるほど盛り上がり、絆も深まる。

一生に一度の命を賭けた大恋愛なんだ。親が子供を応援するのは当然だろう?」


「応援の仕方に問題があり過ぎる」

「そうか? アレは姫様の『運命の男』なんだ。これくらいは乗り越えてもらわねば、そう名乗る資格はない。それに、あの国との遺恨もこれで断ち切りたいしな」


「それも確かにある。だが、おまえは素直じゃない」


クラウスはそう言うと、また溜息をついた。


「本当は国を助けたいとか、民を救いたいとか。そんなことよりも、たった一人の息子を助けたいんだと。その一言が言えないお前は、不器用だ」

「クラウス……」

「オレの前でくらい、本音を言えよ。オレはそのために、おまえの傍にいるんだから」


クラウスはそう言うと、ポンっとカレンの肩に手を乗せた。


カレンは微苦笑し。


「すべて終わったら、きっと殴られるんだろうな」

「オレのも合わせて3発は確実。だろうな」

「おまえ、手加減しないだろう?」

「手加減したら、避けるだろうが!」

「確かに」