「絶対におまえの世話にはならん。余計に悪化する」


互いに互いの言いたいことを言い合って、二人は小さく笑った。


だが、それは一瞬。

再び静寂が訪れた。


「万が一の策は打ってあるんだろうな?」


クラウスの発言に、カレンは意地悪な笑顔を浮かべて見せた。


「誰に物を言ってる? アレを立派に育てたのは誰だと思ってるんだ?」


「立派ねぇ……」

「反論でも?」

「確かにおまえに育てられたにしては、まっすぐに育ったとは思う。不器用すぎるのは問題だがな」

「ああ、そこはオレに似なかった」

「おまえは器用だもんな」

「器用でなければ、あの家の嫡男など到底務まらん。それぐらい、わかってるだろう?」

「前言撤回。おまえは器用なんじゃなくて、性格が悪いだけだな」

「そう言いながら、こんなオレが大好きなくせに」

「おまえなぁ……」


大きなため息をつく親友(クラウス)に、カレンはフフっと楽しげに笑って見せた。