え?
今、誰の名前を呼んだ?
シュラって。
そう言ったの?
だってその人は、魔族なんでしょ?
敵国の王子なんでしょ?
その人からあたしのことを守るのが女王騎士の仕事じゃなかったの?
「人のラブシーンは退屈なだけだな。カレン騎士団長?」
背後に確かに気配を感じた。
振り返ったそこに、その人はいた。
そうでなければいいと。
絶対にそんなことはないと。
そう思ったのに、あっさりと。
あまりにもあっさりと裏切られた。
漆黒の闇夜に紛れるように黒木先輩は立っていて、不機嫌そうに顔をかしげていた。
「ラブシーンに見えたとは。私もまだ捨てたものじゃないということでしょうかね」
「言うことは年寄りくさくて、胸やけがするが」
あたし一人、取り残されてる?
って。
ここは女王様の癒しの力で守られてて。
魔族は入って来れないって、カレンは言ってなかったっけ?



