額を抑え、その場にかがみこむシュリの手の下から、一筋の赤い血が流れ落ちた。
「シュリ!」
石が飛んできた方を見る。
泣き崩れた少年をかばうように、包帯を巻いた大人たちが何人も立っていた。
いらだった顔。
憎しみに満ちた顔。
彼らは一様にこちらを睨みつけて、再び石を投げつけた。
「何するの!」
「そこをどけ、女! オレたちは、オレたちの女王に取り入った魔族を殺してやるんだ!」
「魔族って。シュリはあなたたちと同じ獣人でしょ!」
「バカ言え! こいつは獣人なんかじゃねぇ! 魔族だ!」
「何を証拠にそんなこと!」
「おまえこそ、なんでそんなヤツかばうんだ! そいつはな、正真正銘、魔族野郎だ!
髪も、目も、肌の色まで黒いのが、何よりの証拠だろうが!」
「な……!」
シュリを見る。
確かに言われたとおり。
シュリは違う。
他の誰とも違う。
この国の人はみんな肌の色は白だ。
黒い肌の人は見たことがない。
黒目の人も、黒髪の人も。
みんなカラフルな人ばかりで。
あたしが知っている唯一、黒の色を持った人。
その人は。
魔族の王子と言われる『先輩』だけ。



