ヒツジが七十七匹
ヒツジが七十八匹
ヒツジが七十九匹
ヒツジが……


鏡台の上でロウソクの炎が揺らめいてる。


一心不乱に羊を数えるあたし。

一生懸命寝る努力をしているのに。


まったく効果なし。


眠気どころか、どんどん目が冴えてる。


「眠れないのか?」


ベッドの脇からバリトンボイス。


(眠れるわけないじゃん!!)


ギシッ。
小さな音をたてて、ベッドがきしむ。


思わず体に力が入る。
そんなあたしの背中に、容赦なくシュリの鋭い視線が刺さってくる。

蒲団を握るあたしの手は、じっとり汗でべたついてる。