「姫様、ここで待っていてくださいね」
「ユーリくんは! ユーリくんはどうするの!!」
「大丈夫です。ボクたちはこういうときのために、いっぱいクラウスの訓練受けているんですから!!」
天使が笑う。
うん。
そうだね。
三人は、この国のトップ5の騎士たちなんだから。
「うん。分かった。ユーリくんも気をつけて!!」
再び走って戻っていく少年の後ろ姿を見送って。
あたしは物陰でじっと息をひそめる。
守ってもらうって、こんなに辛いことなのかな?
ただ、待っているってことがこんなに不安なことなんだって、あたしは初めて知った。
あたしもなにかできたらいいのに。
あたしにもみんなみたいな力が使えたらいいのに。
『使ってみたら、どう?』
不意に頭の中で声が響いた。
誰?
あたしの中のもう一人のあたしなの?
あたしはゆっくりと頭をあげた。
「ひっ!!」
思わず叫びそうになるあたしの口を大きな小麦色の手がふさいだ。



