「今さ、交番所から出て帰るとこなんだ」

「何があったの?」

「あれからさ、ひなこと別れてから、ひったくりに会って、大変な目にあったよ。いきなりぶつかってきて、財布抜かれて持ってかれてさ、今、事情調書や何かで、やっと解放されたところ」

「で、佐々木君、怪我は?怪我はしてないの?」

「体は無傷さ、なんだけど…財布ごと持ってかれたから、今日の20万もやられて…すっからかんさ…あぁぁ…」

「そうなの。でも無傷でよかったわ。お金は何とかするから、そんなにがっくりしないで、ねっ」

次の日、仕事が終わってから、私は佐々木に会った。

いつもの麺食いで、私はお金を渡す。

ひったくられた20万の補充……。

佐々木は、ラーメン半分食べる事もなく、私を置き去りに、慌てて出て行った。

お袋の具合が良くないからって…立ち上がった時………、

  どうしてなの?

コロンの匂いがきつかった………。

初めて、一人でパチンコ屋に入った。

今日はチケット代はいらない。

手はハンドル持ち、目は画面見つめてるけど、私の心は…ラーメン屋に置いてきた…。