●佐々木仁●

アリスが言った…ここで一緒に暮らしましょうよ…だって。

私の側にずっといてほしい…だって。

俺って、何てラッキーボーイなんだ!

この運の良さは、笑わずにはいられない。

もうあんな路地裏の臭い匂いを嗅がなくてもいいんだ。

湿った…絞れば水が出てくるような万年床も、カップラーメン漬けとも、おさらばさ。

部屋は埃が渦巻くどころか、埃の上に埃…層が出来ているし、風呂場はカビだらけ…やっと、ここから脱出出来るんだ。

家賃や生活費に困る事もなく、ふかふかベッドでアリスを抱き、アリスの手料理を食べる。

無職だと告白した俺に、アリスは言った。

仕事なんて、してもしなくてもどちらでもいいわ、私が稼ぐから、あなたは遊んでいてもいいのよ、愛してくれたら、それでいいんだから……だとさ。

こんな夢のような生活が存在?

したんだよな本当に………。

これは、俺の容姿に与えられた特権だよな、会った事もない親父、ありがとうよ、その男に やらせたお袋にも感謝状あげたいよ。