4年目の贈りもの[短編]



『ちょ…っ、もしもし綺ちゃん!?

綺ちゃん!?』




その場にしゃがみ込んだあたしの耳には、携帯から和也くんの声が聞こえる。




「…うそ…」




――嘘だ。嘘だ嘘だ!

だって陵は、もうすぐ着くからって。


待ってろって、そう言ったのに。



どうして?…どうして?

あたしは携帯を手に取り、立ち上がって夢中で病院へと足を進めた。




「…陵…陵…」




陵…大丈夫だよね?

事故にあったって言っても、ちょっと怪我しただけでしょう?



「やべえ、俺マジかっこ悪いー」



いつもみたいに、そんなこと言って笑ってみせるんでしょう?


ねえ、陵――…




「…陵…っ」




溢れ出した涙を拭うことなく、あたしはひたすら病院に向けて走った。