4年目の贈りもの[短編]



電話先の陵にそう言うと、陵も明るい声で「うん」と言った。




「…あ、そうだ。
準備、ちゃんとしとけよ?」




その言葉に、あたしは首を傾ける。

…準備、って?




「なんの?」



「はあ?忘れたの?

忘れられない記念日になる、心の準備!」




ムキになってそう言う陵が、かなり子供っぽくて。
あたしは思わず、笑みをこぼす。




「分かったよ」



「――ねえ、綺。
俺のこと…好き?」




突然陵が言った言葉に、あたしの動きが止まる。

…陵、いきなり何言ってんの?




「綺、答えてよ」



「い…っ、言えないよそんなこと!」




今さらながらに、改まって聞かれると恥ずかしくて。
あたしはつい、陵にそう言ってしまった。