4年目の贈りもの[短編]



ガチャッ…



病室から出て、少し歩いた所にある小さな部屋。

陵のお母さんがドアを開けてくれて、あたしは中に入った。


部屋の真ん中には真っ白なベッドが置いてあって、あたしはそっとそれに近付く。




「…陵」




――ベッドに、陵の姿。

いつもと、なにも変わらない。


ただ、眠っているような綺麗な顔。



…だけど。



あたしを引き寄せる腕も。


あたしを包み込む広い胸も。


何度も重ねた唇も。


あたしが大好きだった、あの笑顔も。




「…陵…っ!」




もう、返って来ない。

もう二度と、―――陵に会えない。




「陵…!」




そっと、陵の頬に触れた。

冷たくなった頬には、事故の激しさを物語るように、いくつもの傷がある。