4年目の贈りもの[短編]



「先生…陵は!?
大丈夫なんですよね…っ?」




俯いたまま、何も言わない先生を見て――分かってしまった。

その場に座り込んだあたしに、先生は告げた。




『…すいません。

最善は尽くしましたが…
事故による症状が酷かったために、もう手遅れでした…』




目の前が、グラリと揺れた。
先生の顔が、歪んで見える。




『おい…っ綺ちゃん!?』




そのまま、目の前が真っ暗になっていく。

床に倒れかけた身体を、和也くんに支えられた。




「…陵」




薄れていく意識の中で、頭の中に浮かんでいたのは。




「――…陵」




陵。

あなたがいつもあたしに見せてくれた、優しい笑顔だった。