「先生…陵は!?
大丈夫なんですよね…っ?」
俯いたまま、何も言わない先生を見て――分かってしまった。
その場に座り込んだあたしに、先生は告げた。
『…すいません。
最善は尽くしましたが…
事故による症状が酷かったために、もう手遅れでした…』
目の前が、グラリと揺れた。
先生の顔が、歪んで見える。
『おい…っ綺ちゃん!?』
そのまま、目の前が真っ暗になっていく。
床に倒れかけた身体を、和也くんに支えられた。
「…陵」
薄れていく意識の中で、頭の中に浮かんでいたのは。
「――…陵」
陵。
あなたがいつもあたしに見せてくれた、優しい笑顔だった。

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