「……はぁ」
やっとの思いでリビングに運び、ソファーに横たわらせる。
ご丁寧に、毛布までかけてあげるあたしって、なんて優しい姉なんでしょう。
ほんと、感謝してほしいよ。
「……ん…玉ねぎ、無理だって」
……は?
玉ねぎ?
ふと陸の唇から零れた言葉。
が、顔を覗きこめばスヤスヤと寝息を立てたまま。
なんだ、寝言か。
しかし、なんちゅー夢を見てるんだろう。
「……」
そういえば、陸の顔をまともに見るのって何年ぶりだろう…。
あたしたちは決して仲の悪い姉弟では無かったけど、お互い思春期が来てからというもの、こうやって至近距離で話すことは少なくなった気がする。



