それでも陸は、あたしの手を離そうとはしなかった。 そして、挑発するかのようにお父さんを睨みつける。 「…何かの間違いだろ?なぁ陸?」 「……」 静かに首を振る陸。 「…二人してからかってるんだろう?真弥?」 お父さんが、すがるような目であたしを捕えた。 悪魔でも現実を受け入れないつもりなんだ。 でも、ごめんね? お父さん。 「あたしは陸を愛してる」 弟としてじゃない。 一人の男の人として。