一瞬、頭が真っ白になった。 期待していた声とは全く違う、いや、今思えば、本当はあたしが一番恐れていたはずの声かもしれない。 「…お、父さん?」 やっとの思いで、声を絞り出す。 しかし、唇が震えて上手く喋れない。 背中に緊張が走り、額には冷や汗がじわじわと滲み出す。 『……今、そっちに陸はいるか?』 「えっ、」 陸、という言葉に、心臓がビクンと跳ね上がった。 『り、くは…いないけど…どうしたの?』 震える手で、携帯をギュッと握りしめた。