「……」 無言のまま、陸の手があたしの背中に回されて。 いつの間にか、あたしは陸の腕の中にすっぽりと収まっていた。 「…陸。ごめんっ」 「いいよ。姉貴が落ちつくまで、こうしててやる」 そう言って陸は、あたしの肩に頭を乗せて、力強く抱き締めてくれた。 首筋に陸の髪の毛があたって、くすぐったい。 でも……どうしてかな。 陸のぬくもりが心地よくて、落ちつく。 弟のことをこんなに愛しいと感じたのは、今日が初めてかもしれない……。