『♪♪〜♪』 静かな部屋に着信音が響き渡ったのは、深夜のことだった。 …誰だろ。 由紀、かな。 「…もしもしっ」 涙を拭って、通話ボタンを押した。 『…俺。分かるかな?』 ………へ? 予想に反して聞こえてきたのは、男の人の低い声。 聞き覚えがあるような…。 でも、誰だっけ? 声の主を思い出したくて、記憶を辿る。