──その夜。 陸がバイトから帰ったのを見計らって、あたしはこっそりと陸の部屋のドアノブにネクタイをかけた。 直接渡すことなんて出来なかった。 陸の反応を見るのが、怖かったんだ……。 「…っ」 枕に顔を埋め、声を押し殺して泣いた。 信じてたんだよ。 陸のこと。 離れていても、気持ちは一緒なんだって。 陸は疲れたの? あたしが重荷だった? ──…それとも。 あたしたちが 姉弟、だから…?